13ヵ月と13週と13日と満月の夜

アレックス シアラー作

TwitterのTLで見つけて、この人がどんな本でこういった感想いうんだろって、なんとなくそのまま探して注文してしまった。あらすじも知らずに買ったものだから、読み始めた瞬間に「あ、これは俺の層ではないなw」と思ったね。しかし、読み終えてみれば本の選択に思い込みを持ったらいけないんだなって思えた。

ブログのネタもないし、この小説には珍しいであろう、おっさん目線で感想文を書いてみようかな。


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少女カーリーがありえないと考えていた不思議な体験して、時間の大切さ、思いやりの大切さを学んでいく。

なんとも理不尽でかわいそうな物語。

カーリーが不思議な世界の中で味わう汚い大人の言動や、想像以上にこころの腐った魔女にたいして何を思い、どういった行動をして不幸な魔法を解くのか、こうご期待。

画像以下の文から下にいくほどネタバレするので、小説を読む気なら途中でおやめになってくださいな。


ただただ親切に接していたカーリーにたいして、魔女は理不尽で酷い魔法をかけてカーリーを不幸のどん底へ落とす。魔女がカーリーを落とす方法は見事だった。このカーリー落とし作戦は詐欺で使われる手口だね。親切は良いことなんだけれど、ちゃんと相手を選ばないといけないと考えされられる。にしたって、いたいけな少女の好奇心と親切心を逆手に使うとか、こんなひどい仕打ちは魔女ならでは。この時点で魔女には殺意しかわかない。


魔法をかけられたカーリーは、五感すべてにおいて苦しみを味わう。ただしそれは、魔法なんかなくても、誰もが味わう可能性のある不幸、苦しみ、痛み、そんな体験。嫌だったとしても、生きたいがために仕方なく味わうことになるかもしれない苦痛。いっきにいろいろ降りかかった子供のカーリーにとってはかなりの転機で絶望するでしょうね。さらには大人たちの思い込みで、カーリーは孤独も味わうことになる。カーリーはことの重大さを精一杯みんなに説明しようとするが、なにもかも魔女にかき消され、誰にも信じてもらえず、一番信じてほしい親からも見放される孤独はとてもつらかったろう。信じてほしい子供と相手にしない親のやり取りはもう非情としか言いようのない光景。魔法という常識からかけ離れた出来事は俺も信じないだろうな。子供が感じて、思って、考えて、一生懸命伝えてきたことは、魔法のようなことでも、今その子供が確かに感じていることとして受け止めてあげたいね。子供と言わず、もし全くしらない大人が魔法のようなこと伝えて来たらどうしよう?信じてあげられるだろうか?どのように解決してあげるだろうか?聞いてもどうにもならないこと、親切とは何だろう。


孤独と絶望の中に置かれたカーリーに、自分のおかれた状況から今すぐにでも死んでしまうのではないかという心配が追い打ちをかける。人間死ぬまで幸せで生きたい、ずっと元気でポクッっと死にたい。俺は勝手に自分があと今までの倍生きると思っている。もし、急に余命宣告されたらこれは大人でもきついと容易にわかる。そんなきっつい余命宣告同然の死の恐怖が、苦痛と不幸を背負っている子供のカーリーにさらに襲いかかる。これはもう声がかけられないほどの悪夢。カーリーの人生は夢オチでしか救えないレベルに到達する。俺も一緒に絶望を味わった。つらいの一言。どんな言葉をかけられても、俺なら同情するなら時間くれと言う。欲しいと願うモノは時間のみ。孤独だろうが不幸だろうが、このまま終われない。生きないと。少しの希望くらい持っていないと・・・


何日も辛い日々を過ごす中、カーリーはあることを思いついた。ローラー作戦なみの作業、しかし思い立ったらやるしかない、今のカーリーには難しい選択だけれど行動に起こす。そして仲間を見つけ、魔法にかかってから初めて孤独から救われる。仲間と共に今までの不運がなんだったんだってくらいの運も味方にしながら魔法を解く方法を見つけ、試練に立ち向かい解決!そしてこの先、カーリーと同じ理不尽な不幸を背負う子供もいなくなることでしょう。カーリーは今まで通りの平和な生活を取り戻しましたとさ。

めでたしめでたし!


この物語は、俺に時間が奪われる恐怖と悲愴感を改めて押し付けてきた。のんきに人生まだ半分あるとか言ってられない。カーリーの背負った理不尽な不幸が今までもずっと魔女により繰り返されてきて、その子たちには解決できていなかったこと。解決できなかったということが何を意味し、どれほど孤独で、どれほど悔しく、どれほど魔女を憎んでいたかはこの物語を読んだ後なら憂鬱になるくらい伝わると思う。たとえば子供のころの俺がこの物語を読んだのなら、「カーリーは魔法前の生活を取り戻しただけなんだけれど、それがいかに幸せだったのをかかみしめる。親や友達に恵めれていることが当たり前ではなく、大切にし無ければいけない。」くらいの感想だったと思う。大人になってからは時間の重要性の方が印象にのこった。時間は有限で取り戻せない。時には最期の日が予定より大幅に前に来ることもある。

いつ死んでもよいように生きろとか言葉がある。いやいや、よくないよ、家族、子供、身の回りの人の幸せを見届けて死にたいな。どんなに自分が頑張って悔いなく毎日がたのしくても関係ない。ただそれとは別に少しでも永く未来をみたい。


とりあえずカーリーの親よりは子供の話を信じて聞ける親になろう。

子供の成長にどれだけよい影響を与えられるかわからないけど、せっかくなら子供が立派にそだったって自慢しながらポックリ逝きたいね。

四本足の日記

自由きままに。

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